制作会社との付き合い方:Webサイトの保守契約って必要? どこまでお願いできる? 事例詳細|つなweB
制作会社との付き合い方:<br>Webサイトの保守契約って必要? どこまでお願いできる?

Webサイトの制作を依頼した時、制作会社から保守契約のプランを提案されることがあります。一定のランニングコストが発生するものの、具体的に何をやってくれるのかがわかりにくく、妥当なコストかどうかを疑問に思う人もいるでしょう。Webサイトの保守契約は、本当に必要なのでしょうか。

■ 保守契約の内容は会社によって異なる

 制作会社への支払いは、Webサイトを制作した時や、それ以後作業が発生するごとに支払う「スポット払い」のケースと、継続的に保守契約を結んで支払っていくケースがあります。また保守契約の支払い方法についても、最初に1年分まとめて請求される場合や、毎月支払いが発生する場合など、制作会社によってまちまちです。

ただし、この保守契約によって制作会社が何をしてくれるかは、なかなかわかりにくいものです。言われるがままに保守契約を結ぶのではなく、その内容をしっかり吟味して、不明な点は契約前に確認しておくことが肝心です。

そもそも「保守契約」の内訳は、制作会社によって(あるいは案件ごとに)異なります。項目としては、おおよそ次のような項目が考えられます。

・ドメイン/サーバ契約の管理
・サーバの監視
・データバックアップ
・開発環境の保持
・CMS等の保守
・万が一の緊急対応
・セキュリティ対策
・メールアカウントの追加/削除
・アクセス解析レポートの送信
・軽微な内容変更
・ユーザサポート
・運用アドバイス


制作会社によって、上記以外の項目が保守契約に含まれるケースもあるでしょうし、逆に保守契約に含まれる項目がもっと少ないケースもあるでしょう。大切なことは、保守契約の項目がしっかり明文化されているかを、あらかじめ確認しておくことです。

■ 制作会社がどこまで対応できるか

本来の言葉の意味で言えば、「保守」とは正常な状態を保つことです。Webサイトに何らかの障害が発生したときは、その原因を究明して可能な限りの対応を行います。とはいえ、これらの保守を手厚く行うためには、高いスキルと豊富な経験が求められます。

Webサイトの構築スキルとサーバ運用のスキルは似て非なるものであり、すべての制作会社がサーバの監視までできるわけではありません。その制作会社ができることとできないことを確認して、コストが見合っているかを見極めましょう。

[保守体制の確認ポイント]
・サーバ負荷監視体制はあるか
・サーバの死活(動作しているかどうか)監視体制はあるか
・バックアップはどれくらいの頻度で、どのようにして行っているか
・開発環境はどこにどのようにして保持しているか

■ 「軽微な内容変更」の範囲は?

Webサイトの軽微な内容変更は、厳密に言えば「保守」という言葉の定義には含まれません。しかし実際は、保守契約の中に軽微な変更対応を含むケースは多いのではないでしょうか。

ここでしばしば問題になるのが、どこまでが「軽微」かということです。もちろんこれも、制作会社によってさじ加減は異なってきます。CSSの変更を伴わないテキストの変更までが対象という場合や、ちょっとしたバナーの制作や差し替えも対象になる場合もあります。対象/対象外のルールは明文化しきれない部分もありますが、事前に制作会社に例を挙げてもらうなどして、範囲を確認しておきたいものです。

また、外的要因にどこまで対応するかも、悩ましい問題です。OSのバージョンアップやWebブラウザのバージョンアップ、連携しているSNSの仕様変更によって、今まで表示できていたものが表示されなくなったり、表示が崩れてしまうことがあります。これをすべて保守契約の中で対応してもらえるかといえば、現実的に難しいこともあります。

こうした仕様変更への対応は、CSSやHTMLコードを少し書き換えるだけで完了することもありますが、内容によっては、使っていたスクリプトがまったく使えないため別のスクリプトを探したり、制作会社側でスクリプトを書き直したりといった作業が発生することもあります。依頼する側にとっては「今まで通りの見た目を復旧する」だけでも、制作側にとってはかなりの工数が発生してしまうことがあるのです。やはりこれもケースバイケースで、保守の範囲内に収まらないことがあるということを覚えておきましょう。

■ 保守契約はしたほうがいい?

結局のところ、保守契約は必要なのでしょうか?

多くの企業にとって、Webサイトは「なくてはならないもの」だと思います。ある日突然Webサイトが見えなくなってしまったら、一刻も早く解決してほしいと思うはずです。保守契約の有無は、こうしたトラブルへの対応スピードに大きな影響を及ぼします。

Webサイトが見えなくなる原因はいくつも考えられます。もし制作会社が何らかの作業をしているタイミングなら、制作会社の作業ミスが原因かもしれません。しかし、しばらく制作会社が触れていないような状況であれば、制作会社側の瑕疵に由来する可能性は低いと思われます。このような場合、トラブルの原因究明を突然依頼しても、制作会社側が即座に応じてくれるとは限りません。制作会社に優先度の高い仕事が入っていた場合、そちらを先に処理するのは仕方のないことです。

また、トラブルの原因究明を行なった後は、制作会社が対応作業の見積もりを提示し、金額の承認・正式発注を受けてから実際の作業にあたる、という流れになるでしょう。保守契約がない場合、この原因究明→費用の提示→作業開始までのスピード感も、一方的な期待を抱くことができません。

一方、保守契約を結んでいれば、制作会社も優先的に原因究明にあたってくれるはずです。原因を究明し、作業内容が保守契約の範囲内であれば、すぐに解決に向けて作業を開始してくれるでしょう。結果として、保守契約を結んでいないケースよりもずっと早くWebサイトが復旧することになります。

こうしたWebサイトのトラブルは、程度の差はあれ意外と頻繁に発生します。Webサイトのトラブルは、ビジネスの機会損失だけでなくブランド価値の低下につながる恐れもあるため、なるべく保守契約を結んでリスクを回避したいものです。

Text:Web Designing編集部 Illustration:高橋美紀