制作会社との付き合い方:Webサイト完成までのおおまかな流れをイメージしておこう 事例詳細|つなweB
制作会社との付き合い方:Webサイト完成までのおおまかな流れをイメージしておこう

企業のWebサイト担当者になって初めてWebサイト構築やリニューアルを任された人は、公開までの流れが掴めず不安になることもあるでしょう。そんな皆さんのために、ここではWebサイト制作の大まかな流れをご紹介します。

・Webサイト完成までのステップ
 

Webサイト作成までの流れは、ボリュームや連携するシステムの複雑さによって少しずつ変わってきます。例えば、システム開発を伴うWebサイト構築では、訪問者の目に見えないバックエンドの仕様決定に時間がかかります。また、依頼する制作会社によっても、仕事の進め方に少しずつ違いがあります。ここでは、汎用的な記事管理システム(CMS)を採用した、15ページ前後のページを持つWebサイトをイメージして流れをまとめました。
 

  1. 大まかな方向性の取りまとめ
  2. 依頼する制作会社の選定
  3. 決定した制作会社との打ち合わせ
  4. 仕様書や提案書、見積もり、スケジュールの提示
  5. トップページデザインなどの提出(デザインの方向性を決定)
  6. 下層ページデザインの提出
  7. デザイン校了後にコーディング開始
  8. テストアップ
  9. 確認・修正依頼
  10. 投稿コンテンツの準備
  11. 公開
 

上記を眺めて全体的な流れをイメージできたら、次に各ステップの内容について少しずつ確認していきましょう。



 

■1. 大まかな方向性の取りまとめ

まず、どんなWebサイトをつくりたいのか、Webサイトの目的はなにか、どんな人に向けたWebサイトなのか、といったことを社内で取りまとめていきます。この時点で大切なのは、社内のコンセンサス(意識の一致)をしっかり図っておくことです。担当者自身の考えだけで制作会社と話を進めてしまうと、後々になって根本的な修正を迫られる可能性があります。自分たちが望む要件を書面でまとめておくと社内での意識の共有がしやすく、さらに制作会社への依頼もスムーズになります。依頼内容をまとめた書類は「提案依頼書(RFP)」などと呼ばれます。
 

■2. 依頼する制作会社の選定

つくりたいWebサイトにあった制作会社を選びます。長い付き合いになるパートナーですので、相手のWebサイトの印象だけで慌てて判断するのではなく、実際に顔を合わせて話し合いを重ねながら信頼できる制作会社を選びましょう。一からの制作会社選びは案外時間がかかりますので、この部分のスケジュールは余裕を持って確保しておきましょう。場合によっては「コンペ形式」で複数の制作会社に相談するというケースもありますが、コンペ形式なら請け負わないと断られる可能性もあるので注意しましょう。
 

■3. 決定した制作会社との打ち合わせ

制作会社が決まったら、本格的に内容の打ち合わせを重ねていきます。相談内容によっては最初に複数回のミーティングを重ねるケースもあるでしょう。相手はWeb制作のプロですから、制作に何が必要かを熟知しています。ヒアリングのペースなどはある程度制作会社に任せて進めていくと良いでしょう。 

■4. 仕様書や提案書、見積も、スケジュールの提示

ヒアリングを元に、制作会社から仕様書や提案書、サイトマップ、見積もり、スケジュールなどが提示されます。それぞれ会社内で検討を行いましょう。記事管理システムやECシステムといった仕様に関してもしっかり確認し、不明点があった場合は制作会社に確認しておきます。わからないことをそのままにして進行すると、しばしば運用し始めてから想定外の仕様に気づき困惑することになります。また、見積もりに関しても、総額だけではなく内訳をしっかり確認しておきましょう。コンテンツの執筆や投稿、写真撮影などどんな内訳が記載されているのか、つまり制作会社側がどこまでの作業を行うのかを明確にすることが肝心です。  

■5. トップページデザインなどの提出(デザインの方向性を決定)

複数ページに及ぶWebサイトの場合、最初に数ページ作成してからデザインの方向性をすり合わせするパターンが多いと思います。場合によっては、デザインの前に「ワイヤーフレーム」という構成案を提示されるパターンや、「Adobe XD」というツールを使ってWebブラウザ上でプレビューできるものを提示されるケースもあります。できればデザインの初稿ができる前に、自分たちがイメージしている参考サイトなどを伝えておくといいでしょう。

■6. 下層ページデザインの提出

デザインの方向性が固まってきたら、それ以外のページも順次着手していきます。ここから先は、素材の状況や着手のしやすさといった要因によって、ページごと・コーナーごと個別に進行していく場合もあります。なお、会社概要やコンセプト、商品説明などのページは、制作会社から素材の手配をお願いされるケースもあると思います。素材の準備状況によってはスケジュールがずれてしまうこともありますが、成り行きで進めてしまうのではなく、都度スケジュールの見直しを行い、しっかり組み立て直していきましょう。

■7. デザイン校了後にコーディング開始

デザインや内容が確定したら、いよいよコーディングに入ります。制作するもののボリュームによっては、Webサイト全体が校了するのを待つのではなく、段階的にコーディングに進めるパターンもあります。

■8. テストアップ

コーディングが完了すると、制作会社からテストアップの連絡がきます。通常は確認用のURLが送られてきて、アクセスすると非公開ベースでWebサイトの確認が可能です。

■9. 確認・修正依頼

制作会社任せにせず、打ち合わせどおりになっているかをしっかり確認しましょう。担当者だけでなく、複数人数でチェックできる体制が組めると理想的です。また、PCだけでなく、スマートフォンでの見た目も崩れていないかもチェックしてフィードバックしましょう。

■10. 投稿コンテンツの準備

Webサイトの内容によっては、公開前に自社内で記事を用意し、投稿するケースもあります。お知らせやスタッフブログ、事例ページといったコンテンツです。社内でスムーズに投稿できるよう、制作会社から投稿のレクチャーを受けるか、投稿マニュアルなどを送ってもらいましょう。

■11. 公開

修正依頼の反映が完了し、投稿コンテンツの準備ができたら、いよいよ公開です。公開直後は、想定外のトラブルが起きることもしばしばあります。表示が崩れていたり、リンクが切れていたり、アクセス解析が機能していなかったり…。意外な落とし穴があるものです。週末や年末年始、ゴールデンウィークの直前に切り替えを行うとトラブルが長時間修正できない可能性があります。公開後に平日を挟んで、何かあったときに修正ができるようスケジューリングしておくといいでしょう。

役割分担を決めておこう
 

制作会社はWeb制作のプロ集団なので、企業側のWeb担当者が不慣れだとしても上手にナビゲートしてくれるでしょう。とはいえ、企業側が自分たちでやることと制作会社がやってくれることの役割分担だけは、初期段階でよく話し合っておきましょう。制作会社によっては、ブランディングやプロモーション施策、コンテンツづくりなど、ありとあらゆることをお膳立てしてくれるかもしれません。場合によっては、企業コンセプトの原稿まで書いてくれることもあります。このように丸投げに近い形で進行できる場合もありますが、制作会社側の作業が増えれば当然コストにも影響しますし、自分たちが世間に届けたいメッセージとズレてしまう可能性もあります。制作会社に頼りっぱなしにするのではなく、プロに頼む領域と自分たちで行う領域を線引きすることが肝心です。

Text:Web Designing編集部 Illustration:高橋美紀