本記事では「VUI/VUXデザイン」の最新事例を紹介します。VUI/VUXデザイナーの京谷実穂さんが音声アシスタントの広がりについて教えてくれました。
CES2020で発表されたAlexa搭載デバイス
Amazonは、同社が開発する音声アシスタント「Alexa」搭載デバイスの販売数は2019年1月時点で累計1億台、2020年に入って累計数億台を突破したと伝えています(参考:THE VERGE[英語])。この情報から、少なくとも2019年の1年間で2倍以上に増えたことがわかります。
これだけ急激に増えていることから、音声アシスタントがその使い勝手を象徴する存在であったスマートスピーカーだけでなく、さまざまなIoTデバイスに活用されていると言えます。
では、Alexaはどんなデバイスに搭載されているのでしょうか? 2020年のCESで発表された、Alexa搭載デバイスの例を3つご紹介します。
1.ベッド寝る時に適した音楽が流れたり、部屋のライトの調整などができます。寝る前に目を休めさせたり、布団から出ずにスイッチを操作するのに遠隔でコントロールできます。
2.電動歯ブラシ電動歯ブラシの充電スタンドにAlexaが搭載されていて、歯磨きをしている間に音楽やニュースが聞けます。スキマ時間をうまく利用することが可能です。
3.自動車音声で空調や車内照明の調整ができます。運転中は両手がふさがり、視覚も前方に固定されているのため、ハンズフリーで使用できる音声は有効に活用できます。
Alexaを自動車に搭載した「Alexa Auto」の概要動画。音声により運転中のハンズフリー操作が可能になる
VUI活用方法、3つの代表例
現状、VUI(Voice User Interface)の代表的な活用方法は大きく3つです。1つめは電気のスイッチや家電の操作ができる「コントロール」、2つめは、家事やランニングなど別の行動をしながらでも音声によって情報を取得できる「ながら情報取得」、3つめはインタラクティブな会話を楽しむ「コミュニケーション」です。前述のAlexa搭載デバイスでできることもこの3つのいずれかに当てはまります。
「コントロール」はスマートスピーカーなど音声アシスタントを使い始めた際、多くの人が一番最初に使ってみたいと思った機能ではないでしょうか。この機能を使うとリモコンが必要なくなり、スマート家電などのIoTデバイスに直感的に要求を伝えることができるようになります。家電操作は日常的に使うので、より習慣化して生活に馴染みやすい機能です。
「ながら情報取得」はラジオなど、インターネットの時代が始まる前から存在していましたが、利用者が「Alexa、 ニュースを開いて」のように欲しい情報を直接呼び出せるようになったことで大きく体験が変わりました。また、音声コンテンツ自体の作り方や内容についても変化が起こっています。例えば、Voicyでも音声コンテンツを制作していますが、通勤時間や寝る前に消費されることが多いため、10分程度の短いものが主流となっています。
「コミュニケーション」は音声アシスタントをキャラクターに見立てたり、擬人化してインタラクティブなやりとりを楽しみます。スマートスピーカーが出始めたころに話題になった、ピカチュウと話せる「ピカチュウトーク」などがこれに当てはまります。まだ言語認識の技術に課題があるため、SF映画にでてくるシーンのようにまるで人と話しているかのような自然さを感じにくいですが、この機能によって、あらゆるIoTを擬人化することができます。未来への期待が最も高い機能と言えます。
※CES2020に関するより詳しい内容はこちら(「Voicy Journal」で執筆したまとめ記事)